少し前までウイルス性腸炎を含む感染性胃腸炎が流行っていました。

現在は手足口病が猛威を奮っていますが、ウイルス性腸炎もまだまだ流行っています。

そこで今回はウイルス性腸炎について書いてみました。

 

胃腸炎とは?

胃腸炎とはお腹のかぜのことです。ウイルスや細菌が胃腸に入り込んで、胃腸の動きを悪くする結果、腹痛、嘔吐、下痢、発熱などを起こす病気です。食中毒も胃腸炎の仲間です。

 

胃腸炎の原因は?

原因は大きく以下の3つに分けられます。

・細菌性

・ウイルス性

・寄生虫や原虫

2〜5月はロタウイルスによるもの、12月はノロウイルスによるものが多いです。

原因として多いのはウイルス性のものなので今回はウイルス性をメインに書きます。

 

ウイルス性胃腸炎の症状は?

多くは突然の嘔吐から始まります。だいたい半日から24時間程度は嘔吐が続きます。

嘔吐に引き続いて下痢が出ることが多く、下痢が2週間程度続くこともあります。熱が出るのは比較的稀です。

 

検査は必要?

ウイルスがどのウイルスであっても治療方針は変わらず、特効薬も無いので検査は必要ありません。

 

ウイルス性胃腸炎の薬は?

ウイルス性のため特効薬がありません。下痢に対しては整腸剤を処方することがあります。嘔吐を止めるお薬や下痢を止めるお薬は使わないことが多いです。下痢や嘔吐物にウイルスが含まれているため、それらを止めてしまうと体の中にウイルスを長時間とどめておくことになってしまうからです。

 

ウイルス性胃腸炎はうつる?

ウイルス性の胃腸炎はうつります。嘔吐物や便を触った手、その手で触れた物を介して口に入り感染します。また嘔吐物が乾いてウイルスが飛散しそれを吸い込んでうつる場合もあります。嘔吐物や便の処理をした後は手洗いをしっかりして少しでも感染のリスクを減らしましょう。使い捨てマスクや手袋を使用してもいいですね。

 

経口補水療法って?

嘔吐ばかりしていると水分が出ていくばかりで脱水になってしまいます。子どもは大人の3倍で脱水が進むと言われています。脱水といえば点滴!!となる方も多いと思いますが、点滴には苦痛も伴います。まずは、苦痛を伴わない経口補水療法から始めてみましょう。

 

経口補水療法とは適切な塩分と糖分濃度の水分を少量ずつ飲んでいく方法です。

中等症までの脱水であればまずは試してみてほしいです。

嘔吐が少しおさまったらスプーン1杯程度の経口補水液*を5分おきに飲ませましょう。順調に進めば飲ませる間隔を少しずつ縮めていきましょう。嘔吐がおさまっても一気に大量に飲んでしまうと嘔吐してしまうので注意してくださいね。

*経口補水液

水1L+塩3g+砂糖40g (お好みでレモンやグレープフルーツなどの果汁)

市販のものだとオーエスワン

脱水が軽い場合、上記の味が苦手な場合は経口補水液に果汁100%のりんごジュースを

半々くらでい混ぜてもOK

 

ウイルス性胃腸炎の時の食事は?

経口補水液の摂取が進んで機嫌がよく顔色も良くなってきたら、ミルクや食事はすぐに開始して大丈夫です。お粥などではなく年齢にあった食事で大丈夫です。

 

今回はウイルス性の胃腸炎をメインに書いてみました。

ウイルス性腸炎の中でも唯一予防できるのがロタウイルスです。日本では2020年10月よりロタウイルスワクチンが定期接種となりました。

当院でも接種しているのでぜひご相談ください。

NES駒沢クリニック 医師 吉武光太郎監修