麻疹の原因は?
麻疹は、麻しんやはしかとも呼ばれています。麻疹ウイルスはパラミクソウイルス科のモルビリウイルス属に含まれるウイルスが原因の感染症です。
麻疹はどんな症状?
麻疹に感染すると、約10日後くらいに高熱や鼻水、咳などの症状が現れます。
3〜4日後に一旦熱が下がり、同時に口の中のほっぺの裏あたりに小さな白いブツブツが出現します。
白いブツブツが出た後に再度高熱となり、発疹が出てきます。発疹は耳の後ろあたりから、頚、顔、体、手足に広がります。
その後発疹は消失し、褐色の色素沈着を残します。合併症がなければ7〜10日ほどで治ります。
麻疹の感染経路は?
麻疹は感染力が極めて高く、空気感染・飛沫感染・接触感染によってうつります。
空気感染もするので手洗いうがいだけでは予防はできません。
免疫を持っていない人が感染するとほぼ100%発症し、一度感染して発症すると一生免疫が持続すると言われています。
麻疹の合併症は?
麻疹の合併症としては、中耳炎、肺炎、脳炎などがあります。
健康な子どもでも合併症を来すことがありますし、特に5歳以下の小児や免疫不全者では重症化し死亡することもあります。
麻疹には亜急性硬化性全脳炎という合併症があります。
稀ではありますが、麻疹に感染した後5〜10年後に行動や知能の退行、けいれんなどが現れます。この亜急性硬化性全脳炎という病気は治療法が確立されておらず、現在でも予後の悪い病気です。
麻疹の最新感染情報
2023年に5月までの発生者数は東京や神奈川など日本全国で4名です。最新の情報は国立感染症研究所のサイトで検索することができます。
予防接種はある?
麻疹には麻疹・風疹混合ワクチン(MRワクチン)の定期接種があります。
1歳になったらなるべく早めに1回目を接種し、2回目は小学校入学前の1年間の間に接種します。2回の接種で99%以上の人が免疫を獲得します。
また定期接種以外でも2回接種したことがない方、麻疹にかかったことがない方は自費になりますが2回接種(1回目の接種翌日から起算して27日以上の間隔を開けて)を趣意書うしています。
NES駒沢クリニック小児科では、麻疹の定期接種を行なっています。予防接種後希望の場合はWEB予約からご予約ください。
治療方法は?
麻疹に効果的なお薬はありません。
対症療法と言って、発熱に対しては解熱剤の使用、細菌感染には抗菌薬の投与などを行います。
まとめ
平成27年3月27日に日本は麻疹の排除状態にあることが認定されました。
排除後は国内の患者数は少なく、海外から入ってきた例や海外で感染した事例の報告があります。
こうやって書いている私自身、小児科医を13年やっていますが、実は麻疹の患者さんを見たことがありません。今まで一人だけ麻疹が疑われる患者さんがいましたが、血液検査を行い麻疹ではありませんでした。
麻疹はワクチンによって予防できる疾患なので、1歳になったらすぐにワクチンを接種する、大人でも麻疹の免疫を持っていない(ワクチン接種をしておらず、麻疹にもかかったことがない)方は予防接種を受けましょう。
麻疹についてよくある質問
Q:麻疹と風疹の違いを教えてください
A:麻疹と風疹はそもそも原因ウイルスが違うのですが、麻疹は高熱の数日後に皮疹が出るのに対して、風疹は熱は低いか(ないこともある)同日に皮疹が出ます。風疹の症状が軽い麻疹のようなものなので三日麻しかとも呼ばれることがあります。治療はどちらも特効薬はなく、対症療法になります。
Q:麻疹にかかっているかもしれないのですがどうしたらいいですか
A:麻疹かかっている可能性がある場合は、まずクリニックに電話でお問い合わせください。まずは他の方に移さないようにすることが大切です。本当に麻疹にかかっていても対症療法でしか治療ができません。クリニックにかかるとしても公共交通機関の利用は控えましょう。
Q:麻疹の予防接種の費用を教えてください
A:公費(定期予防接種)の麻疹ワクチンは自己負担なしで接種可能です。定期予防接種以外の場合、自費(NES駒沢クリニック小児科の場合は6100円)で投与することも可能です。その場合は事前の予約が必要になります。